20年後に飲めるワインを考える・・①

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うちのお店で結構よくあるやりとり・・

客:「娘が生まれたんです!」
ラ:「それはおめでとうございます!」
客:「オリジナルラベルワイン作ろうと思います!」
ラ:「それはそれは!ありがとうございます!」
客:「20年後に娘と飲みたいんですよ!」
ラ:「はぁ・・・」
客:「今年のワインってありますか?!」
ラ:「今年のワイン?・・はまだ、葡萄のまま木にぶら下がってますよ・・」
客:「え?・・でも、なんとかヌーボーってあるじゃないですか!」
ラ:「ええ・・・」
客:「あれって今年のワインじゃないの?」
ラ:「ええ・・そうです。11月に出荷されますね・・」
客:「それでいいよ!それを20年後に娘と飲むよ!」
ラ:「え〜っと・・・お客様・・・(ΦДΦ)」

成人を迎えた娘と乾杯したい!・・・

お気持ちはよくわかりますが・・(汗;

意外と、「ワインは寝せれば寝せるほど美味くなる」とおもってらっしゃるお客様は結構いらっしゃいます。残念ながらワインはウイスキーやブランデーや焼酎などの蒸留酒と違って、日本酒と同じ醸造酒です。非常にデリケートなお酒なんですね。なので、お茶の間のテレビの上に置いといて熟成するかと言いますと、1年持たずに100%ダメになります。「押し入れの中に新聞紙で包んで置いておけば大丈夫」などと仰る方もいますが、これも厳しいです・・。最適な保存温度は15度〜13度。押し入れの中は涼しいですが、年中この温度をキープできているかと考えますと、よほどの押し入れでも無理・・じゃあ、「冷蔵庫ならいいのか?・・」答えはNOです。冷蔵庫は5°前後の室温です。これではワインは熟成しません、さらには乾燥と振動・・こちらのほうがワインには問題あるかもしれません。また冷蔵庫には様々な食材がひしめき合っています。どんなにケアしてもワインにニオイ移りします。やはり専用のセラーが一番良いのです。振動も乾燥もなく適温を一年中キープしてくれますのでワインにとっては一番良いです。最近では家庭向きで6本用のワインセラーとかが売られています。冷蔵庫や押し入れやテレビの上で保存するよりははるかに良い熟成を重ねてくれるはずです。

が・・・

ボジョレーヌーボーをこの中に入れてれば20年後に飲めるのか?・・・

全く無理です。ボジョレーヌーボーは遅くとも桜の咲く頃までには飲んでしまったほうがいいです。そういうワインです。

ちょっと難しい話をすると・・ボジョレーヌーボーはマセラシオンカルボニック(Maceration Carbonique)という醸造方法によって造られます。つぶさないままのぶどうを密閉タンクに入ると、投入されたぶどうは上からのぶどうの重みでつぶれ、アルコール発酵し、炭酸ガスを発生します。炭酸ガスが充満したタンクの中で、ぶどうの色素が抽出され、リンゴ酸が分解され、急速にワインとしての熟成が進みます。マセラシオン・カルボニック法では、タンニンはあまり抽出されません。このため、渋味の少ないフレッシュな感じのワインになります。

要は色素を炭酸ガスによって無理矢理摘出してるので、時間をかけて圧搾して作ったワインとは違うのです。

私の友人の酒屋さんの倉庫で売れ残ったままの10年前のボジョレーヌーボーを見て驚愕したことがあります。
なんじゃこらぁぁぁ・・・・(ΦДΦ)

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それはそれは不思議な光景・・上が白ワイン、下が赤ワインww 色素が沈殿してヘドロのように堆積していました・・・ここのお酒屋さんの倉庫は常に低温で光も入らない場所でしたが、ヌーボーは長期保存するとこのようになります。(保存してたわけじゃなく売れ残ったものが倉庫で朽ちただけですが・・)もちろんセラーに入れても結果は同じですので、できるだけすぐに飲みましょうね!

少し長くなりそうなので今日はここまで・・
次回も20年後に飲めるワインついて考えます。